自然冷媒機器えらび » 用途別の自然冷媒機器 » 冷蔵倉庫の自然冷媒冷凍機

冷蔵倉庫の自然冷媒冷凍機

冷蔵倉庫を自然冷媒の冷凍機に切り替えるときは、部屋ごとの温度帯、冷凍室と冷蔵室の冷やし分け、稼働を続けながらの更新の3点が計画の中心になります。メーカーと環境省が公表している導入事例をもとに、倉庫の条件ごとの考え方を整理しました(確認日2026年10月21日)。

冷蔵倉庫の温度帯と自然冷媒

冷蔵倉庫は、保管する品物によって部屋の温度帯が分かれています。冷凍食品や水産物を保管する部屋はF級と呼ばれ、おおむね零下20℃以下の温度帯です。野菜や乳製品、チルド食品などを保管する部屋はC級と呼ばれ、それより高く10℃程度までの温度帯を指すのが一般的です。水産物の中には、零下40℃を下回る超低温での保管が求められるものもあります。

冷蔵倉庫で使われる自然冷媒は、主にCO2と、アンモニアとCO2を組み合わせた方式です。環境省は、CO2を不燃で毒性がない冷媒として冷凍冷蔵倉庫などで使われていると紹介しています。アンモニアは効率が高い一方で毒性と可燃性があり、CO2を二次冷媒として組み合わせたり、充填量を少なくしたりすることで安全性を高め、大規模な倉庫や食品加工で使われているとしています(環境省 自然冷媒の解説ページ、確認日2026年10月21日)。

メーカー各社も、温度帯ごとに機種を分けて公表しています。前川製作所はF級向けのNewTon R-3000・R-6000・R-8000と、C級向けのNewTon C・CH・CHMを掲載しています。日本熱源システムのスーパーグリーンはF級用のタイプFとC級用のタイプCに分かれ、タイプFの標準の庫内温度範囲は零下45℃から零下15℃、タイプCは零下15℃から15℃です。三菱重工冷熱のC-puzzleは、庫内温度零下35℃から10℃までを1つのシリーズで扱う構成です(各社公式サイト、確認日2026年10月21日)。

自社の倉庫にどの温度帯の部屋がいくつあるのかを書き出しておくと、各社の機種表のどこを見ればよいかがわかります。温度帯を書き出すときは、いまの設定温度だけでなく、保管品ごとに求められる温度の幅や、将来その部屋で保管する予定の品物も確認しておくと、更新後に温度帯を変えたくなったときにも対応しやすくなります。各社の機種の比べ方は冷蔵倉庫用冷凍機の選び方で詳しく解説しています。

冷凍室と冷蔵室が同居する倉庫

多くの冷蔵倉庫には、F級の冷凍室とC級の冷蔵室が同じ建物の中にあります。温度帯の違う部屋をどう冷やし分けるかは、機器の構成を考えるうえで最初に決めたいポイントです。大きく分けると、部屋ごとに専用の機器を置く方法と、1台で複数の温度帯を同時に冷やす機器を使う方法があります。

部屋ごとに分ける

F級の部屋にはF級向けの機種を、C級の部屋にはC級向けの機種を、それぞれ必要な台数だけ割り当てる方法です。部屋ごとに機器が分かれているため、温度の管理がしやすく、1台が止まったときに影響が及ぶ範囲も限られます。

日本熱源システムの事例では、よつ葉乳業の十勝主管工場保管庫がSG-F2を2台、SG-C2を3台組み合わせて導入しています(2019年2月)。国分グループの関西総合センターは、SG-F2を9台、SG-C2を14台、SG-C1を1台導入しています(2019年8月)。いずれも、F級とC級の部屋にそれぞれの機種を割り当てた構成です(日本熱源システム公式サイト、確認日2026年10月21日)。

三菱重工冷熱のC-puzzleは、10馬力・20馬力・40馬力の機種がQ-tonと同じ外形で、横に並べて設置できると公表しています。全機種の法定冷凍トンが20トン未満で、高圧ガス保安法の製造届出が不要とされています(三菱重工冷熱公式サイト、確認日2026年10月21日)。部屋ごとに中小型機を置き、必要に応じて台数を増やす使い方の候補になります。

部屋ごとに分ける方法は、機器の台数が増えるぶん、設置する場所や配管の取り回しを考える必要があります。機械室の広さや屋外の設置スペースを、早めにメーカーと確認しておきます。部屋ごとに温度を細かく管理したい倉庫や、将来部屋を増やす計画がある倉庫では、この方法が検討しやすい構成になります。

同時冷却型を使う

日本熱源システムのスーパーグリーンには、F/C切換型とF/C同時冷却型が用意されています。F/C同時冷却型は、1台で冷凍室と冷蔵室を同時に冷やす構成です(日本熱源システム公式サイト、確認日2026年10月21日)。

1台で複数の温度帯をまかなえると、機器の台数を抑えやすくなります。一方で、その1台が止まると冷凍室と冷蔵室の両方に影響が出るため、故障時の備えをどうするかもあわせて考えます。F/C切換型は、季節や保管品の変化に合わせて部屋の温度帯を切り替えたい倉庫で検討の対象になります。

前川製作所と三菱重工冷熱については、1台でF級とC級を同時に冷やす構成を公式サイトの記載からは確認できませんでした。対応していないという意味ではないため、冷凍室と冷蔵室が同居する倉庫では、各社にどのような組み方を提案できるかを同じ条件で聞いてみてください。

稼働中に更新する考え方

冷蔵倉庫は24時間稼働していることが多く、更新工事のために倉庫全体を長く止めるのは難しいのが一般的です。そのため、稼働を続けながらどのように更新するかを、機器の選定と同じくらい早い段階から考えておく必要があります。

更新の進め方には、全館を一度に切り替える方法と、1室ずつ順番に切り替える方法があります。全館を一度に切り替える方法は工事の回数が少なく済む一方で、その間の在庫を外部の倉庫へ移す必要があります。1室ずつ切り替える方法は、ほかの部屋に在庫を寄せながら進められますが、工事が複数回に分かれます。

どちらの方法が向いているかは、部屋の数と大きさ、在庫の量、繁忙期の時期によって変わります。部屋ごとに機器を分ける構成は、1室ずつの更新と組み合わせやすい傾向があります。大型機を少ない台数で使う構成では、既存機と新しい機器を一時的に並行して動かせるかどうかが、計画の鍵になります。

どちらの方法を選ぶ場合も、工事中は普段よりトラブルが起きやすくなります。温度の監視を誰が担当し、異常に気づいたときに施工会社とメーカーのどちらに連絡するのかを、工事の前に決めておきます。夜間や休日の連絡先も、担当者の名前と電話番号まで確認しておくと安心です。

在庫移管

更新工事の間に在庫をどこへ置くかは、倉庫の運営に直接関わる問題です。外部の冷蔵倉庫を使う場合は、移す量と期間、輸送の手配、外部倉庫の空き状況を早めに確認します。取引先への出荷を外部倉庫から行えるかどうかも、物流部門と事前に調整しておきます。

1室ずつ更新する場合は、工事中の部屋の在庫をほかの部屋に寄せることになります。各部屋の空き容量と、温度帯の合う部屋がどこにあるかを確認し、更新の順番を決めます。F級の部屋の在庫はF級の部屋にしか寄せられないため、F級の部屋が少ない倉庫では、順番の組み方に工夫が必要です。F級の部屋を先に1室更新して受け入れ先を確保し、そこへほかのF級の部屋の在庫を移しながら順に進める、といった組み方も考えられます。

工事の時期は、在庫が少なくなる時期に合わせると移管の負担を抑えやすくなります。水産物や冷凍食品の繁忙期を避けるなど、自社の在庫の動きをもとに時期を検討してください。工事中の夜間の連絡体制など、更新の手順全体は自然冷媒冷凍機への更新手順で解説しています。

公表されている導入事例

冷蔵倉庫での自然冷媒の導入事例は、メーカーの公式サイトや環境省のページで公表されています。自社と似た規模や温度帯の事例を探すと、機器の構成を考えるときの参考になります。

メーカーの事例

前川製作所は、ヤマイチ水産が2025年2月にNewTon-F600を4台導入した事例を公表しています(前川製作所公式サイト、確認日2026年10月21日)。

日本熱源システムは、スーパーグリーンの導入事例を多く公表しています。青葉冷凍の仙台東物流センターはSG-F2を9台導入しています(2019年2月)。フリゴ咲洲はSG-F4DHを3台ほかを導入しています(2023年2月)。先に紹介したよつ葉乳業の十勝主管工場保管庫や、国分グループの関西総合センターも同社の事例です。同社はスーパーグリーンの累計台数が800台を超えたと公表しており、この数には2026年以降に納入予定の台数も含まれています(日本熱源システム公式サイト、確認日2026年10月21日)。

三菱重工冷熱は、C-puzzleの食品関連の導入事例として、カネフジ冷蔵、福岡運輸、ニチレイ・ロジスティクス九州の箱崎、カナカンの金沢低温センター、キユーピーの階上工場を公表しています(三菱重工冷熱公式サイト、確認日2026年10月21日)。

事例を読むときは、導入した機種と台数だけでなく、部屋の温度帯や更新の進め方にも注目すると、自社の計画に置き換えやすくなります。ただし、事例のページに掲載されている情報は限られていることが多く、部屋の数や温度帯、更新の進め方までは書かれていない場合もあります。詳しく知りたい事例があれば、メーカーに問い合わせる際に、似た条件の事例を紹介してもらえるかどうかを聞いてみるとよいでしょう。

環境省の事例

環境省は、自然冷媒機器の補助事業を活用した事業者のインタビューを公開しています。その中には、食品工場で約100kWのアンモニア冷凍機を補助率3分の1で導入した事例があります(環境省 補助事業の活用事例、確認日2026年10月22日)。

公的機関が公開している事例は、導入を決めた理由や、導入後の変化が紹介されていることが多く、社内の稟議資料を作るときの参考になります。自社と同じ業種の事例があれば、決裁者への説明にも使いやすくなります。補助の条件は年度や事業によって異なるため、自社の計画では最新の公募要領を確認してください。

事例で紹介されている機器の詳しい仕様は、各社の公式サイトで確認できます。

補助事業

冷蔵倉庫への自然冷媒機器の導入には、国の補助事業を使える場合があります。令和8年度は「コールドチェーンを支える冷凍冷蔵機器の脱フロン・脱炭素化推進事業」として、冷凍冷蔵倉庫と食品製造工場に導入する脱炭素型自然冷媒機器などが対象とされています。補助率は原則3分の1以下で、詳細は公募要領で定められています。予算の範囲で選定されるため、減額や不採択になる場合もあります(日本冷媒・環境保全機構の公募案内、確認日2026年10月22日)。

環境省は、脱炭素型自然冷媒機器を、高い水準の省エネ性能を備えた自然冷媒機器と位置づけています。自然冷媒を使っているだけでは対象にならない場合があるため、検討している機種が条件を満たすかどうかをメーカーに確認してください。

補助事業では、交付決定の前に発注した機器は対象外になるのが一般的です。工事の時期や在庫移管の計画と、補助事業のスケジュールをあわせて組み立てる必要があります。たとえば繁忙期を避けて工事をしたい場合は、その時期に交付決定が間に合うように、公募の時期から逆算して申請の準備を始めます。費用の内訳と申請の流れは自然冷媒機器の導入費用と補助金で解説しています。

倉庫の条件別に相談先を選ぶ

倉庫の条件によって、公表内容から見て検討しやすい相談先は変わります。ここでは各社が公表している情報をもとに、条件ごとの目安を整理しました。最終的には、自社の条件を伝えて複数の会社から提案を受けることをおすすめします。

倉庫の条件検討しやすい相談先公表されている根拠
大型のF級庫を少ない台数で冷やしたい前川製作所NewTon R-8000の冷凍能力270.0kW(CO2供給温度零下32℃時)
超低温の部屋がある日本熱源システムタイプFの標準庫内温度範囲が零下45℃まで、特別仕様で零下43℃
冷凍室と冷蔵室を1台で冷やしたい日本熱源システムF/C同時冷却型あり
小さな部屋を段階的に足したい三菱重工冷熱C-puzzleの横並び設置、全機種法定冷凍トン20トン未満
保守の拠点数を重視したい前川製作所全国54拠点、24時間365日の遠隔監視

表の数値は各社の公式サイトで公表されている値で、測定条件はそれぞれ異なります。数値の大きさで比べるのではなく、自社の条件で必要な能力を出してもらったうえで判断してください。

表に挙げた条件は1つの倉庫の中で重なることもあります。大型のF級庫と小さなC級の部屋が同じ倉庫にある場合や、超低温の部屋が1室だけある場合などです。そのようなときは、条件ごとに相談先を分けるのではなく、倉庫全体の条件をまとめて伝え、各社がどのような組み合わせを提案するかを比べると判断しやすくなります。

相談の前には、部屋ごとの温度帯と寸法、保管品の種類、入出庫の頻度、既存機の型式と台数をまとめておくと話が進めやすくなります。最寄りのサービス拠点や夜間の連絡先も、相談の場で確認しておきたい項目です。冷蔵倉庫は止まると在庫に直接影響するため、機種の性能と同じくらい、故障時にどれだけ早く対応してもらえるかが大切です。保守体制の比べ方は冷凍機の保守・サービス体制で解説しています。

3社の公式サイトから、カタログや問い合わせ窓口を確認できます。