カタログの冷凍能力(kW)は庫内温度や外気・冷却水の条件で変わります。自然冷媒冷凍機の公表値を読むときにそろえる条件、最大機種と最小機種の見方、台数で組むときの注意を整理します。
冷凍能力は、冷凍機が熱を取り除く能力を表すものです。カタログでkWの数字を見るときは、まず欄の名称を確認します。同じkWという単位でも、冷凍能力、電動機出力、消費電力は別の量です。例えば、冷凍能力の数値をそのまま電気料金の計算に使うことはできません。
製品を選ぶ際には、倉庫や工程で必要な冷却負荷と、それに対応できる機器の能力を照合します。必要な負荷は、温度、荷物の出入り、運用条件などを踏まえて設備設計で確認する事項です。現在使っている冷凍機の銘板を写すことは資料の準備になりますが、同じ数字の後継機を選べば更新計画が完成するわけではありません。
また、冷凍能力の大きい機種が、どの施設でも適した機種とは限りません。部屋ごとに設備を分けたいのか、大きな負荷をまとめたいのかによって台数構成は変わります。能力表は機器候補を整理する入口として使い、最終的な選定は設計条件を共有した見積りで進めます。自然冷媒機器の選び方では、能力以外の用途・設置・保守も含めた検討順序を扱っています。
公表されたkWの値には、その数値を示した温度条件が付いています。条件の一部が違えば、数字の大小を同じ仕事での性能差として読むことはできません。表のすぐ下の注記や脚注まで確認し、値と条件を一組で書き写します。
冷やす側で確認するのは、庫内温度なのか、冷媒の蒸発温度なのか、供給するCO2やブラインの温度なのかという区別です。いずれも温度の数字ですが、測っている場所や意味が違います。供給温度が-32℃と記載されていても、庫内を-32℃に保つ性能という説明には置き換えられません。
日本熱源システムのスーパーグリーンでは、タイプFの能力が庫内温度-25℃時として掲載されています。SG-F1は33.9kW、SG-F4は162.0kWです。同じタイプFの表内では、記載された条件をそろえて機種ごとの公表値を確認できます。一方、その数字を他社の供給温度基準の表へそのまま並べると、基準が変わってしまいます。
前川製作所のNewTon英語版公式ページでは、R-3000が94.7kW、R-8000が270.0kWとされ、CO2供給温度-32℃、冷却水32℃時という条件が示されています。ここでの-32℃は庫内温度ではありません。見積りで必要なのは自施設の庫内条件に対応した能力なので、カタログから異なる温度指標を抜き出した段階では、同条件比較が完了したとはいえません。
放熱側では、外気温度や冷却水温度などを確認します。冷やす側の温度をそろえただけでは、異なる製品の公表能力を同条件の値として比べられません。設置先で想定する周囲条件を伝え、メーカーに選定用の能力を確認してください。
三菱重工サーマルシステムズのC-puzzle現行製品ページでは、HCCV(S)1001の17.5kW、CSTS8001MF(-S)の143.3kWは、庫内温度+5℃、外気温度+32℃、運転領域内の標準回転数における値と注記されています。冷凍倉庫の条件と違うため、これらの数値を低温倉庫でそのまま得られる能力として使うことはできません。
| 公表値の例 | 冷やす側の条件 | 放熱側などの条件 | そのまま比較しない相手 |
|---|---|---|---|
| NewTon R-8000、270.0kW | CO2供給-32℃ | 冷却水32℃ | 庫内温度を基準にした他社の値 |
| SG-F4、162.0kW | 庫内-25℃ | 比較に必要な追加条件は要照合 | 別の温度指標・条件による値 |
| C-puzzle CSTS8001MF(-S)、143.3kW | 庫内+5℃ | 外気+32℃、標準回転数 | 冷凍倉庫条件の値 |
出典は各社の公式製品ページで、確認日は2026年10月23日です。この表は条件の違いを示すためのもので、数値順の性能ランキングではありません。SG-F4についても、他社比較に必要な条件がこの欄だけですべてそろったという意味ではありません。
資料に条件が見当たらないときは、都合のよい外気温度などを補って比較表を完成させないようにします。空欄を残して確認先と質問を付ければ、次の見積り依頼で不足している情報が分かります。条件がそろわない機種は、能力の優劣ではなく、確認中の候補として扱う段階です。
最大機種を見る目的は、必要な負荷を何台程度に分けて検討するかを考えることです。単体の公表能力が大きくても、一台停止時の影響や配管構成、運用上の分け方を含めて適否を確認します。「大きい方が優れている」という判断ではなく、計画する設備のまとまりに合うかを見ます。
最小機種を見る目的は、小さな部屋や段階的な増設にどのような候補があるかを整理することです。ただし、最小という呼び方には対象範囲が要ります。特定シリーズで確認した最小型式を、そのメーカーの全製品の最小機種と説明しないようにしましょう。新製品や別シリーズの有無は、現在の製品案内で確認が必要です。
例えばNewTon Rシリーズの掲載型式の中では、R-3000が94.7kWと案内されています。これは同ページの掲載範囲と温度条件での値です。他社の庫内+5℃時の最小モデルと直接比べて、小規模設備への適合順位を確定することはできません。候補を絞った後、同じ必要温度と負荷で選定してもらう手順が残ります。
| 検討したいこと | カタログで見る箇所 | 見積りで追加確認すること |
|---|---|---|
| 負荷をまとめて冷やす | 対象用途の大きい型式と条件 | 必要能力、停止時の影響、台数構成 |
| 部屋ごとに分ける | 対象用途の小さい型式と条件 | 配管・制御、段階増設の可否 |
| 冷凍と冷蔵を扱う | 温度帯別の製品区分 | 同時運転か切替か、系統の構成 |
| 将来増設する | ラインナップと接続の案内 | 増設時の工事範囲と既設系統への影響 |
冷蔵倉庫で条件をまとめる際は、冷蔵倉庫用冷凍機の選び方と併せて、現状の部屋構成や温度帯を書き出してください。最大・最小の数字は、その条件整理の代わりにはなりません。
複数台で構成する場合、台数を増やせること、必要な能力を満たすこと、故障時にも必要な運用を続けられることは別々の確認事項です。台数と一台当たりの公表能力だけで、システム全体の動きを確定しないようにします。
確認したいのは、接続できる冷却器、配管と制御の条件、運転の分担、共通部品の範囲です。複数台あっても共通の設備が停止したときにどうなるか、点検時にどの範囲を止めるかは構成次第です。台数の説明を、そのまま無停止運用や完全な予備能力の保証へ広げないことが必要になります。
2024年1月25日のC-puzzle追加機種発表では、10馬力HCCV1001C、20馬力HCCV2001MCと、油管理システムM-DIOMACの構成が紹介されています。室外機に相当するコンデンシングユニットは計3台まで接続し、最大60馬力まで管理できると説明されています。
この例は、同発表に示された型式とシステムの構成範囲です。異なる現行型式や任意の冷却器に自動的に適用できる上限ではありません。また、指定するCAREL社からコントローラー製品を別途購入する旨の注記があります。冷凍機本体以外の必要機器を含めて見積りを確認してください。
発表時の型式と現行製品ページの型式は表記が異なるため、資料を混ぜないことも確認点です。見積書の型式に合った接続図や仕様書を使い、追加機器、試運転、制御設定まで誰が担当するかを照合します。製品の概要は三菱重工サーマルシステムズのページで整理しています。
冷凍機の資料で「トン」の表記を見る場合は、それが何を示す欄なのかを確認します。冷却能力の表現、倉庫規模の目安、法定冷凍能力を同じものとして扱わないようにしてください。特に法定冷凍能力は、kW表示の冷却能力を単純に置き換えて手続きを判定するための数字ではありません。
千葉県の冷凍設備に関する手引では、手続き区分は冷媒の種類と一日の冷凍能力、すなわち法定冷凍能力によって決まると説明されています。算定基準も設備方式ごとに示されており、製品ページの冷凍能力kWを一律の係数で換算する説明にはなっていません。
例えばC-puzzleの公式表では、同じ型式について冷凍能力kWと法定トン数を別の行で掲載しています。二つの欄を区別して読む実例にはなりますが、特定機種の比率を別製品へ当てはめることはできません。複数機を設置する場合の設備区分や必要手続きも、施工担当者と管轄窓口へ確認します。
具体的な確認順序は冷凍機と高圧ガス保安法で扱います。本ページでは届出要否の個別判定や、kWから法定冷凍トンへの換算を行っていません。設置地域の最新の案内と、採用型式に対応するメーカー資料を使って相談してください。
候補ごとに、能力値だけでなく、出典と条件が一緒に残る表を作ります。数値が更新された場合も、いつ、どの型式を見て検討したかを追える形です。確認できない欄は推測で埋めず、未確認と記載して質問先を決めてください。
| 書き写す項目 | 記録する内容 | 不足していた場合の質問 |
|---|---|---|
| メーカー・シリーズ・型式 | 末尾記号まで含む正式型式 | 見積りと同じ版の仕様書はあるか |
| 用途 | 倉庫、食品凍結など | 自施設の用途で選定できるか |
| 冷凍能力 | kW値と欄名 | 電力や電動機出力と混同していないか |
| 冷やす側の温度 | 庫内・蒸発・供給の区別 | 必要な庫内温度での能力はいくつか |
| 放熱側の条件 | 外気・冷却水等 | 自施設の設計条件に対応するか |
| 台数と接続 | 型式・制御・冷却器の条件 | 追加機器と停止時の影響は何か |
| 法定冷凍能力 | メーカー資料の表記 | 設備構成全体では何を確認するか |
| 出典と日付 | URL、資料名、版、確認日 | 改訂がないか、現行型式か |
前川製作所は前川製作所の製品整理、スーパーグリーンは日本熱源システム、C-puzzleは三菱重工サーマルシステムズで製品別に確認できます。条件がそろうまでは数字の順位を付けず、必要な温度・負荷での見積りを依頼しましょう。