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自然冷媒冷凍機への更新手順

フロン冷凍機から自然冷媒の冷凍機へ更新するときの流れを7つのステップに分け、それぞれで確認したいことをまとめました。工事中の在庫の置き場や夜間の連絡体制など、機器のカタログには載っていない準備も含めて整理しています。

更新の全体の流れ(7ステップ)

冷凍機の更新は、機器を選んで工事をすれば終わりというものではありません。現在の設備を把握し、必要な能力を整理し、方式を選び、手続きと費用を確認してから工事に入ります。工事中も倉庫や工場の稼働を止められないことが多いため、在庫の扱いと連絡体制まで事前に決めておく必要があります。

ステップ内容主な確認事項
1現状把握既存機の型式・台数・設置年、冷媒の種類、点検記録
2負荷の整理部屋ごとの温度帯・寸法・入出庫の頻度
3方式を選ぶ冷媒の種類、大型機か中小型機の組み合わせか
4届出・手続きの確認高圧ガス保安法、フロン排出抑制法
5見積もりと補助金費用の内訳、補助事業の公募時期
6工事中の在庫移管と夜間体制在庫の置き場、切り替えの順番、緊急連絡先
7試運転と引き渡し温度の確認、操作説明、保守契約

ステップ1から5までは、メーカーや施工会社と相談しながら行ったり来たりすることがあります。たとえば方式を選んだあとに手続きの条件が見えてきて、台数の組み方を見直すといった流れです。順番どおりに一度で進むとは限らないため、各ステップで決まったことを記録しておくと、社内の説明にも使えます。特に、方式の選定と手続きの確認、見積もりと補助金の申請は互いに影響し合います。補助事業の公募時期から逆算して、いつまでに方式を決め、いつまでに見積もりをそろえるのかを最初に大まかに決めておくと、社内の稟議の時期も見通しやすくなります。

所要期間は倉庫の規模や機器の構成、補助事業を使うかどうかで大きく変わります。具体的な期間はメーカーや施工会社に、自社の条件で見通しを出してもらってください。

ステップごとの担当

更新は社内の複数の部署と、社外の複数の会社が関わる作業です。誰が何を担当するのかを最初に決めておくと、確認漏れを防げます。

ステップ社内の主な担当社外の主な相談先
現状把握・負荷の整理設備管理、倉庫・工場の現場責任者既存機の保守会社、メーカー
方式を選ぶ設備管理、経営層メーカー、施工会社
届出・手続きの確認設備管理、総務メーカー、施工会社、所管の都道府県
見積もりと補助金設備管理、経理、経営層メーカー、施工会社、補助事業の執行団体
在庫移管と夜間体制倉庫・工場の現場責任者、物流部門施工会社、外部倉庫、メーカーのサービス窓口
試運転と引き渡し設備管理、現場責任者メーカー、施工会社

社内に冷凍設備の専任者がいない場合は、窓口役を1人決めておくだけでも、社外とのやり取りがまとまりやすくなります。窓口役は、メーカーや施工会社からの質問を社内の担当部署へつなぎ、決まったことを記録する役割を担います。経営層への報告や稟議の準備も、窓口役が情報をまとめておくと進めやすくなります。

現状把握と負荷の整理

最初のステップは、いま使っている冷凍機と冷やしている部屋の状況を正確に把握することです。ここで集めた情報が、方式の選定や見積もりの前提になります。

現状把握では、既存機の型式・台数・設置年、使っている冷媒の種類と充填量、点検や修理の記録を集めます。フロン排出抑制法の対象となる業務用の冷凍冷蔵機器であれば、点検記録簿が残っているはずです。これまでの故障の傾向や、冷えが悪くなる時期なども、現場の担当者に聞いておくと参考になります。

負荷の整理では、部屋ごとの温度帯、寸法、保管品の種類、入出庫の頻度を書き出します。冷凍能力は、部屋の大きさだけでなく、扉の開閉や搬入される品物の温度によっても変わります。夏場の外気温度が高い時期に冷えにくくなっている部屋があれば、その情報も伝えておきます。

集めた情報は、部屋ごとに1行ずつまとめた一覧表にしておくと便利です。部屋の名前、温度帯、寸法、保管品、入出庫の頻度、いま冷やしている冷凍機を並べておけば、どのメーカーに相談するときにも同じ資料を渡せます。現地調査の前に送っておくと、調査当日の確認がスムーズに進みます。

既存機の能力をそのまま新しい機器に置き換える考え方もありますが、保管品や運用が設置当時から変わっていることも少なくありません。更新を機に、いまの使い方に合った能力をメーカーに見直してもらうと、過不足のない構成に近づけます。将来の計画もこの段階で共有しておきます。数年以内に部屋を増やす予定がある、保管品の温度帯を変える可能性がある、といった情報は、機器の能力や台数の考え方に影響します。冷凍能力の読み方は冷凍能力の見方で解説しています。

方式を選ぶ

現状と負荷が整理できたら、どの方式の冷凍機にするかを検討します。冷蔵倉庫や食品工場で使われる自然冷媒は、主にCO2と、アンモニアとCO2を組み合わせた方式です。

環境省は、CO2を不燃で毒性がない冷媒として、ショーケースや冷凍冷蔵倉庫などで使われていると紹介しています。アンモニアは効率が高い一方で毒性と可燃性があり、CO2を二次冷媒として組み合わせたり、充填量を少なくしたりすることで安全性を高める使い方が広がっているとしています(環境省 自然冷媒の解説ページ、確認日2026年10月21日)。

方式の選び方は、部屋の数と大きさによっても変わります。大型の部屋を少ない台数で冷やす場合は能力の大きい機種、小さな部屋が多い場合や1室ずつ更新したい場合は中小型機の組み合わせが候補になります。前川製作所、日本熱源システム、三菱重工冷熱の機種の違いは冷蔵倉庫用冷凍機の選び方で比べています。

方式を決めるときは、既存の機械室や配管をどこまで使えるかも確認します。新しい機器の大きさや重さ、必要な電源、放熱のための空間によっては、設置場所を変える必要が出てくることがあります。アンモニアを使う方式では、アンモニアを機械室内にとどめる設計が一般的です。前川製作所のNewTonシリーズは、アンモニアの充填量を機種により21kgから60kgとし、機械室内に限定する構成を公表しています(公式サイト、確認日2026年10月21日)。機械室の場所や広さは、方式を選ぶうえで早めに確認したい条件です。冷媒ごとの性質は自然冷媒の種類、アンモニアとCO2の組み合わせはアンモニア・CO2冷凍機の仕組みで解説しています。

届出・手続きの確認

自然冷媒の冷凍機は、冷媒の種類や冷凍能力によって高圧ガス保安法の手続きが必要になる場合があります。手続きの要否は機器の構成に関わるため、方式を選ぶ段階から確認しておくと安心です。

茨城県は、フロンを使っている機器を可燃性の自然冷媒に入れ替える場合、高圧ガス保安法の許可や届出が必要になる場合があると案内しています。防爆性能の確認、ガス漏えいの検知警報設備や消火設備、安全弁の放出管などの基準が変わることもあり、冷凍能力が20トン以上の場合は冷凍保安責任者の選任が必要です。入れ替えを検討するときはメーカーや管理会社へ事前に相談するよう呼びかけています(茨城県 自然冷媒への入替に関する案内、確認日2026年10月22日)。

メーカーの中には、機種ごとの法定冷凍トンを公表しているところもあります。三菱重工冷熱のC-puzzleは全機種の法定冷凍トンが20トン未満で、高圧ガス保安法の製造届出が不要と公式サイトに記載しています(確認日2026年10月21日)。ただし、同じ事業所に複数台を置く場合の扱いなどは、所管の都道府県やメーカーに確認してください。手続きが必要な構成になった場合は、申請や検査の時期を工事の計画に組み込む必要があります。手続きの準備を後回しにすると、工事の開始時期がずれることもあるため、方式を決めた段階で施工会社と段取りを確認しておきます。

既存のフロン機器を撤去する際は、フロン排出抑制法に基づいて冷媒を適切に回収する必要があります。回収の手配と記録の扱いを、施工会社と事前に決めておきます。手続きの詳細は高圧ガス保安法と自然冷媒とフロン規制と自然冷媒で解説しています。

見積もりと補助金

方式の候補が絞れたら、複数のメーカーや施工会社から見積もりを取ります。比べやすくするために、同じ条件を伝え、費用の内訳を分けて出してもらうのがポイントです。

見積もりで分けて聞きたいのは、機器本体、据付工事、配管工事、電気工事、既存機の撤去とフロン回収、試運転、保守契約の費用です。項目ごとに分かれていると、各社の提案の違いがどこにあるのかが見えやすくなります。保守契約の費用は、点検の頻度や遠隔監視の有無によって大きく内容が変わります。導入費用だけでなく、引き渡し後に毎年かかる費用も含めて比べると、長く使ったときの負担を見通しやすくなります。見積もりの前提条件として、部屋ごとの温度帯や台数を各社に同じ内容で伝えることも忘れないようにします。

国の補助事業を使う場合は、公募の時期に合わせて計画を立てる必要があります。令和8年度は「コールドチェーンを支える冷凍冷蔵機器の脱フロン・脱炭素化推進事業」として、冷凍冷蔵倉庫や食品製造工場の脱炭素型自然冷媒機器などが対象とされています。補助率は原則3分の1以下で、詳細は公募要領で定められています。予算の範囲で選定されるため、減額や不採択になる場合もあります(日本冷媒・環境保全機構の公募案内、確認日2026年10月22日)。

補助事業では、交付が決まる前に発注した機器は対象外になるのが一般的です。発注の時期を交付決定のあとに合わせる必要があるため、見積もりの段階から補助事業のスケジュールを意識しておきます。補助事業には公募説明会が開かれることもあり、申請に必要な書類や省エネ効果の計算方法を事前に知ることができます。申請書類の作成をメーカーや施工会社が支援してくれるかどうかも、見積もりの際に聞いておきたい点です。費用の内訳と補助金の詳しい流れは自然冷媒機器の導入費用と補助金で解説しています。

工事中の在庫移管と夜間体制

冷凍機の更新工事では、冷やせない時間がどうしても生まれます。その間に在庫をどこに置き、トラブルが起きたときに誰へ連絡するのかを、工事の前に決めておきます。

在庫の置き場

全館を一度に更新する場合は、工事の間、在庫を外部の冷蔵倉庫へ移すことになります。移す量と期間、輸送の手配、外部倉庫の空き状況を早めに確認しておきます。繁忙期を避けて工事時期を決めると、在庫の量を抑えやすくなります。外部倉庫を使う場合は、保管料や輸送費だけでなく、取引先への出荷が外部倉庫から行えるかどうかも確認しておきます。出荷の流れが変わる場合は、物流部門や取引先との調整が必要です。

1室ずつ更新する場合は、ほかの部屋に在庫を寄せながら工事を進められます。部屋ごとの更新の順番と、各部屋に寄せられる在庫の量を、現場の責任者と施工会社で事前に詰めておきます。1室ずつ進める方法は在庫を外に出す量を抑えられる一方で、工事が複数回に分かれます。各回の切り替え作業のたびに、温度の確認や在庫の移動が発生する点も考えておきます。

既存機と新しい機器を一時的に並行して動かす方法もあります。並行運転ができるかどうかは、機械室の広さや電源、配管の取り回しによって変わるため、施工会社に確認します。冷凍室と冷蔵室が同居する倉庫の考え方は冷蔵倉庫の自然冷媒化で解説しています。

夜間の連絡先

工事期間中や試運転の期間は、普段よりトラブルが起きやすい時期です。夜間や休日に温度異常や停止が起きた場合の連絡先を、施工会社とメーカーの双方について確認しておきます。

連絡先は担当者の名前と電話番号だけでなく、誰が判断し、誰が現地に向かうのかまで決めておくと安心です。社内でも、温度の監視を誰が担当し、異常に気づいたときにどこへ連絡するのかを共有しておきます。

引き渡し後の保守体制も、この段階で確認しておきたい項目です。遠隔監視の有無、最寄りのサービス拠点、夜間の受付窓口はメーカーによって異なります。比べ方は冷凍機の保守・サービス体制で解説しています。

試運転では、各部屋が設定温度まで下がるか、扉の開閉や入出庫があっても温度が保てるかを確認します。操作方法や警報が出たときの対応について、現場の担当者が説明を受ける時間も確保しておきます。引き渡しの際には、取扱説明書や完成図書、点検の記録の付け方を受け取り、保管場所を決めておきます。担当者が替わっても引き継げるように、警報が出たときの対応手順を現場に掲示しておくのも1つの方法です。

相談前の準備チェックリスト

メーカーや施工会社に相談する前に、次の項目を準備しておくと、提案や見積もりを同じ条件で受け取りやすくなります。わからない項目は空欄のままで構いません。現地調査で一緒に確認してもらえます。

  • 既存機の型式・台数・設置年・冷媒の種類
  • 点検記録簿と過去の修理記録
  • 部屋ごとの温度帯・寸法・保管品の種類
  • 入出庫の頻度と、冷えにくくなる時期
  • 機械室の広さ、電源容量、搬入経路
  • 全館一度に更新するか、1室ずつ更新するか
  • 工事中の在庫の置き場の候補
  • 夜間・休日の社内の連絡体制
  • 補助事業を使うかどうかと、希望する導入時期
  • 社内の稟議にかける時期と、決裁者

このリストは社内の関係部署で分担して埋めると早く進みます。準備ができたら、比較表でメーカーごとの公表内容を確かめ、相談先を絞り込んでください。

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更新の前に、各社の機種と保守体制をあらためて比べておくと、相談の場で聞くべきことが明確になります。

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